働き方改革がクローズアップされ、副業や複業という言葉を耳にする機会が増えました。
ランサーズやクラウドワークスといったクラウドソーシングサイトのような働き方も盛り上がっていますよね。ノマドワーカーという自宅やオフィス以外で働く人も増えてきています。
ノマドワーカーは「あえて」自宅外やオフィス外で働く人を指しますが、その自宅やオフィスがそもそもないホームレスワーカーはどんな仕事をしているのでしょうか。おそらく空き缶集めやゴミ箱から拾った週刊誌の転売などをイメージする人が多いでしょう。収入も、その日暮らしの稼ぎという固定観念があるかもしれません。しかし、ホームレスの仕事を調べてみると意外な事実が見えてきます。
ホームレスは仕事をしている?
2012年に厚生労働省が発表したホームレスの実態調査において、仕事をして収入を得ている人は全体の60.4%だったそうです。
この調査は、東京23区と仙台市を除く政令指定都市、および2011年1月の調査で、50人以上のホームレスが住んでいる市からピックアップされた1,341人が対象です。
「ホームレスは働いていない!」なんてことはないわけです。
ホームレスの月収はどれくらい?
1,341人中、60.4%のホームレスの人が働いているという調査結果でしたが、実際の収入はどれくらいなのでしょうか。調査があった月(1月)の直近3ヶ月間の収入額も発表されています。
1万円未満…94.0%
1万円~3万円未満…5.9%
3万円~5万円未満…0.3%
平均収入…約4,000円
前回調査がおこなわれた2007年度の平均収入額が「約4万円」と、5年間で10分の1まで平均収入が下がっていたのです。なぜここまで収入が下がったのでしょうか。それには、ホームレスの仕事内容と社会情勢が大きく影響していました。
ホームレスのお仕事事情
ホームレスの仕事で最も多くの人が従事している業種が「廃品回収」です。冒頭で述べた世間的なイメージは間違ってなかったということですね。廃品回収に従事するホームレスは、全体の77.7%と最も高い割合になっています。
廃品回収のメインはやはり「金属」の回収です。アルミ缶や銅などを回収・分別して専門業者に買い取ってもらうことで収入を得る仕事です。
2008年の北京オリンピックがあった頃にはアルミや銅などの相場が高く、1kgあたり200円を超える価格で取引されていました。
しかし、この異常な高値が、ホームレス以外の一般人を金属回収という副業に走らせるきっかけになってしまったのです。現在の相場は高くても150円前後。業者や自治体によっては100円以下のところもあります。
最盛期から50%以上も買い取り価格が下がったという事実によって、収入そのものも50%下がる要因になってしまったのです。そして、回収する金属そのものが、一般人の副業介入によって奪われたことで絶対数が目減りしたのも大きな影響を与えています。
ホームレスの空き缶集めについては以下の記事もチェックしてみてください。
その他ホームレスに依頼される仕事として多いのが「並び屋」や「寄せ場」といわれている仕事です。
並び屋とは、先着○○名様限定!というような売出しなどで、自分の替わりに並んでもらう仕事を指します。しかし、最近ではネットの抽選などが多くなり、一晩並んで特典を得るということが少なくなりました。こうした社会インフラの変化も仕事そのものが減った要因です。
寄せ場とは、特定の地域で朝一に募集をかける日雇い作業を指します。全国でも数か所しかない上、最近では外国人労働者が流入していることもあって、ホームレスの寄せ場は縮小しているというのが現状のようです。
ホームレスの仕事と収入は社会情勢に大きな影響を受ける
ホームレスワーカーの収入は社会情勢によって大きく変化をします。
ただでさえ仕事と呼べる収入源が少ないうえに、その仕事に一般人が介入したり、扱う商品の価格変動があったりすると収入に大きな影響を与えることが分かりました。
社会復帰を目指すホームレスも徐々に増えてはいますが、その社会復帰を難しくしているのが社会そのものというのは皮肉な話です。
ホームレスを支援する団体や個人がいくら声を上げても、社会全体が貧困をなくすための法律やセーフティーネットを作っていかなければホームレスの社会復帰は成り立たないのです。(๑❛_❛๑)
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